世の中に星の数ほどコンピュータのソフトはあるのですが、我が本業にどうしても必須の、縦書きはきっちりできるワープロソフトには、ほとんどお目に掛かったことがないのです。
もちろん業界随一の某M社のWordには縦書きの機能も、ルビの機能もあるのですが、もう一つ気に入りません。
MacOS9の時代までは、ORGAI(もちろん森鴎外の名前を拝借したネーミング)というワープロソフトがあって、長年使い込んだのですが、MacOSXの時代になるまでに淘汰されてしまったのです。
今手なずけようとしているのはegword Universalっていうものですが、これはルビの大きさが本文の文字の半分の大きさで固定であるという使いにくさと、段組にした場合に段間に線が引けない(らしい)という仕様もあって、まだまだ困っています。
手慣れたソフトを動かすために、OSのバージョンアップがなかなかできないという、DTP業界の苦労が、ほんの少しわかったような気がします。
我が本業では、語句の右側に傍線を引き、さらにそこにルビ(多くはカタカナのアイウエであったり??などの丸付き数字)を付ける、などということを多用するのですが、これが出来ないソフトが大部分です。
もちろんプロが使うinDesignなどでは出来るに違いないのですが、それでは某M社の大艦巨砲主義と何ら変わらないのです。最終兵器としては「数字だけ手書き」なんてことをしますが、見た目が悪くなってしまいます。
我が本業関係では、こんなことも必要です。ある文章の一定の箇所に傍線を引き、その傍線の引かれたさらに一部分にだけ波線を引く、なんていうことです。傍線にも波線にもそれぞれに記号が付いたりします。簡単にできそうでこれができないのです。違う傍線(横書きでは下線)を引くと、それまでの設定が消えてしまうのです。うーーん。
最終出力は我が本業の環境では、ザラ紙です。正式名称は不明ですがとにかく「ザラ紙」。この紙に簡易印刷の輪転機で印刷するのです。こっちのほうは就職したころに比べると格段に進歩したのですが、紙がザラ紙では、細かい字はつぶれるのです。せめてプリンター用の再生紙(ホームセンターなんかで売ってる安物レベル)くらいの紙に印刷できるのであれば、ルビが本文の半分の大きさでも問題はないのです。
先日このegwordUniversal2を使って書類(もちろん縦書き)を作っていたら、πやΣといったギリシャ文字や√といった記号の大半が横を向いて表示され、印刷されるという現象に出くわしました。どう考えてもソフトのバグなので製造元に問い合わせると「そういう仕様になってます」だと。「仕様」でことが済むのはソフト業界だけではないかと思うのですが。確かに約物(。や」など)は横書きの時と、縦書きの時でフォントが違うのですが、ギリシャ文字などは無関係のはず。このソフトではすべてのフォントで同様の現象になります。困った物です。しょうがないのでπだけ図形にして貼り付けたのですが、今度が行送りが妙になりました。とほほです。
eg-wordはMacのソフト業界では、もっとも老舗だったのですが、ついに開発が終了したとのことです。非常に残念です。とにかく、パッケージソフトは売れないのだということです。たしかにWEBのbrowserさえあれば、何でもたいていのことはできるようになっていますから。しかし、一抹の寂しさを感じます。まさに諸行無常です。
egwordUniversal2 をだましだまし使ってきたのですが、OSXを10.9.1から10.9.2に上げたところ、ついにまともには動かなくなりました。開発が終わるというのは、本当に時世に遅れてしまう、ということだと実感しました。
アップル純正のPagesはどんどん使い勝手が悪くなり、しかも日本のユーザーがずっと言い続けている縦書きについては、まだ(たぶん永遠に)できないままです。日本で売っている(10.9からは無料になりましたが)ワープロソフトで、縦書きができないものなどは、まったくある種の業界では無意味なのですが、アップルはどう考えているのでしょうか。
こういうことこそ、メディアが声高に主張すべきだと思うのですが、Macに関する雑誌(市販されているのはMacFan?など数誌になってしまいました。)も、結局は提灯持ちの記事ばかりです。
提灯持ちの記事というと、iOSがVer6になった際にその搭載している「マップ」アプリが、まったく使い物にならないものであったにも関わらず、iOS発表前のMacFan?では、まったくそのことには触れずに3D表示がすごいというような、どうでもいいことばかりが述べられていたことがあったのを、思い出しました。(2014年4月)