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APRS

 DOSの時代からこういうシステムはあったそうなのだが、アマチュア無線のパケットにいろんな情報を載せて遊ぼう、というものである。
 日本で広く紹介された当初は、Automatic Positioning Report System の略でAPRSと伝えられていたのだが、そうではなくてAutomatic Packet Reporting Systemであるそうだ。
 7年ほど前にシステムを構築してわが方でも始めた。
 そのころは1200ボーでの通信がほとんどであったが、数年して9600ボーでのやりとりに移行した。全国的に144.64MHzが9600のAPRSのチャンネルである。

設備

 2mのFMのTRXにTNCを繋いでさらにそのTNCをWindows上で動作するAPRSのソフト(もっともメジャーなのはやはりUI-VIew)で制御するというのが基本である。
 かつて(30年ほども昔)パケット通信というものだあった。一種の文字通信なのだが、アマチュア無線の電波を使ってデータをやりとりするものであった。インターネットが民間に開放される少し前が日本でのパケット通信の頂点であった。
 1200ボーで動くTNCはかなりの数を中古で手に入れたのだが、なぜかそのほとんどは故障していたり、すぐに壊れた。すべてTASCO社の物であった。
 TASCOというメーカーはすでに存在もしていないのだが、製品の品質管理がもう一つであったような気がする。使われていたIC=今はほとんど目にすることもなくなったロジックIC=74**とか40**とか=も壊れると言うことを知ったのも、この多数のTNCのおかげである。


 アマチュア無線でのパケット通信の礎を築いたのはTAPR(タッパーと発音する)である。80年代から活躍しているアメリカテキサス州のグループなのだが、今もまだある。まだあるどころか、SDR(Software Defined Radio)のほうへ注力をしている。
 TNC(Terminal Node Controller)ももともとはTAPRが開発した。
 私が最初に手に入れたTNCはAIWAのAPX-25であった。オーディオメーカーがなぜアマチュア無線の機器を作っていたのか不明なのだが、正真正銘のあのAIWAである。これをNECのワープロ専用機文豪mini5Gに繋いでいた。
 もちろんそのころのワープロ専用機にRS-232Cのポートなど標準で付いているはずもなく、オプションのボード(確か16000円ほどもしたような気がする)を購入した。
 余談であるが、このボードは店(NECのコンピュータ関係の子会社でBItInn?とか言ってような記憶があるが……)に在庫がなかったので予約してた、家の近くまで配達に来てくれた。ところがまだナビのない時代で、近くとはいっても、もとの団地のほうに入ってしまったららしくて、電話があってから自転車で受け取りに行ったという顛末があった。
 まだNECがばりばりに儲けていた時代である。
 APX-25−−文豪mini5G−−430のTRXというのが、私の最初期のパケット通信のシステムであった。
 相手局とコネクト状態になったら(もちろんコネクト状態になるまでが一苦労だったのだが)、こちらが打ち込んだ文章が勝手に相手へ流れていくのであったのだが、その根本がなかなか理解できずに、コネクトしている相手局に電話を掛けて、送受の切り替えはどうするのかと尋ねたこともあった。
 まぁとにかく世の中がまだのんびりとしていた時代であった。
 インターネットの民間への開放が世界全体に大変動を引き起こしたのだと、この文章を打ち込みながら改めて強く感じる。


 現行の設備は次のようなものである。

I-Gate 局

◎ TRX IC-208 これは20Wのリグなのだが、ファンが付いている。そのファンの音が喧しいのでファンに通電しないようにしていある。音声の送信ならファイナルの石が伸びてしまうに違いないのだが、パケットでは送信時間が短いので、ファンなしで数年使っているが問題なしである。ちなみにこの筐体にD-Starのモジュールを載せたのがID-800である。かつて所有していたが、ID-800は手放した。
◎ TNC RC-D710 Kenwoodの製品である。TM-D710というAPRSに特化した144/430のFM機のパネルだけを販売したものである。少々高いのだが、見た目のよさと使いやすいこともあって、I-Gate局にもまた車のほうにも載せている。
●● できてしまえば何でもない設備なのだが、1200ボーから9600ボーへの移行に関しては苦労した。無線機やTNCによっては受信はできてもうまく送信できないとか、またその逆もあった。

◎◎ 設備の変更をした。いつもチェックしている中古の店2店でDR-135の安いのが出た。最初の店のはDR-135MK2でしかもTNC(EJ-41U)内蔵というものであったので、ポチった。これは出力が50Wのリグである。
 注文した翌日には届いてまずは出力のチェック。問題なく50W少々出ていた。ハイパーターミナルを立ち上げてTNCの動作を確認したのだが、どうも様子が変なのだ。最初のメッセージを見るとアルインコ純正のEJ-41Uではなくて、DR-135用にアメリカで販売されているTNCで、これにGPSのレシーバーを繋げばそれだけで車からパケットを飛ばせるという物であった。まぁそれでもいいかと考えたのだが、残念ながらこれは1200ボーしか出来ないことが分かって返品。
 もうひとつの店のは単なるDR-135T。これまた注文した翌日には来たのだが、電源ONの後10分ほどするとスケルチオープンになって、TNCを内蔵してもパケット通信には使用できないことが分かって、これまた返品。
 うーーん、となったのだが衛星通信でのパケット用に購入したまま使っていなかったDR-635にTNCを内蔵させることにした。これですっきりとしたシャックになった。RC-D710はQSYすることになった。
 DR-635の送信が止まり、はたまたUI-Viewの動作も妙になった。別段RS-232cのコネクタが抜けたわけでもないと不思議に思っていたら、RTTYで100Wの送信をした際に、その自局内の電波でコンピュータがおかしくなったようなのだ。
 RFIには「竹輪」が一番と、DR-635から伸びる線に竹輪をかませて事無きをえた。


 VHFで50Wの出力で常時送信することなど、テレビがアナログの時代にはTVIが怖くてとうてい考えられないことであった。テレビのデジタル化の恩恵をこうむっているのは、都会のアマチュア無線家である。(Feb 7 2013)

無線機を再度変更する←アルインコはもうひとつ

 DR-635と内蔵のTNC=EJ-50UでのI-Gate局ももう一つ受信能力が良くないような気がしてきた。おまかにこの144/430のリグは衛星通信用に用意したという経緯がある。2013年には新たなFM衛星が上がる予定なのだ。簡単に言えばI-Gateに使うだけというのはもったいないという気がしたのだ。
 そこでDR-135Tが格安で手に入ったので、DR-135用のTNC=EJ-41Uも購入して実験してみた。大きな誤算であった。
 まずはEJ-41UとEJ-50Uは差し替えが可能なのだが、古いほう即ちEJ-41UのほうはPCとの通信が9600ボーまでなのだ。9600での通信を9600ボーの速度でPCとやり取りするのは少々無理がある。DR-635とEJ-50Uでは19200ボーまでPCとの通信ができる。この差は大きい。
 まぁそれでも試しにDR-135とEJ-41Uでやってみたが、どういう風にしてもうまくいかないのだ。
 かつて、FT-7800とRC-D710という組み合わせを車で試した頃と症状は一緒であった。受信はできて、それなりの電波は出ているのだが、それが他のAPRSのリグでは解読されないのである。
 試しにDR-135とEJ-50Uという組み合わせでもやってみた。TRX--PC間は19200である。しかし症状は変わらなかった。
 DR-135の内部にはデビエーション調整用の半固定VRがあるのだが、それをどのように変化させてもだめであった。
 要するにTRXの内部のどこかでひずんでいるのである。諦めた。

 DJ-G7の1200MHzでのDTMF音の悪さといい、今回のDR-135といい、やはりアルインコは二流メーカーである。

 結局、TRXは元のIC-208に戻り、TNCは外付けのKPC-9612になった。
 KPC-9612のPLusであればUI-Viewでの使用が簡単なようであるが、KPC-9612だと、TNCの初期設定を少々自分でいじる必要があった。(2013/2)

モービル局

◎ FT-7800とRC-D710という組み合わせである。
 これもなかなか9600ボーが通らなくてその原因の究明には時間を要した。結局、自局が発した電波がTRXに回り込んでいて、そのために9600のパケットがおかしな波になっていたことが原因であった。FT-7800から伸びる線すべてに竹輪(パッチンコア、正式な名前はスナップオンチョークかな?)をかまして、正常な動作となった。

課題

 足跡を残すこと以外に何ができるのかの追求である。

設備変更(2014)

 4月の初めから、どうもRF-->>インターネットの回線がおかしくなったと感じました。ノードのTRX=IC-208=とTNC=KPC9612=の電源投入を繰り返してとりあえず復旧したのですが、根本的な改善が必要だと判断しました。
 2014年現在、日本製品でI-Gate局用のTNCとして使用可能なのは、KenwoodのRC-D710だけです。1年ほど前まで使ってましたが、なかなか優秀なTNCでありました。それを入手するか、あるいはUSAからTNCを輸入するかですが、いずれもにしてもずいぶん高くつくので、ソフトウェアTNCを試すことにしました。
 ソフトウェアTNCとして早くから有名なのはAGWPEですが、どうもわが方の環境(MacminiにParallelsかBootCamp?でWinな環境という親亀子亀孫亀状態)では、うまく動作しませんでした。
 暇だけはたっぷりあるので、ググってみると衛星通信を熱心にされている方のブログに、soundmodemというものが紹介されていました。
 soundmodemのエンジン自体はAGWPEと同じようなのですが、これだけでパケットのモニタもすべてできる優れもので、もちろんUI-Viewとの連携もOKです。
 FT-817のDATA端子から9600のパケットの音(??)を入れてレベルを調整すると、なんとか取りこぼしもほとんどなくデコードできました。送信のほうもできるようになったので、IC-208に繋いでしばらく動作実験です。
 (Apr 10 , 2014)

元に戻る……

 数週間の間、ソフトウェアTNCで実験をしてみたのですが、どうにもローカルの移動局のパケットのデコード率が下がったままなので、元のKPC9612に戻しました。老兵の再登場です。
 日本中に数百のノードがあるのですが、さて皆さんはどのような設備でやってらっしゃるのでしょうか。もっとも簡単なのは、TM-D710やFTM-350、FTM-400Dをノードにするということでしょうが、どうもそれは高くつきすぎて小生にはおもしろくないのです。
 1年ほど前に売却したRC-D710が今さらながらにもったいないことをしたと、思い出されます。(Apr 21 2014)

RC-D710の誤作動!!

 ソフトTNCももう一つで止め、その後FTM-400DHを追加で購入(モービルでのWiRESX運用のため)したのをきっかけに、車のAPRSはRC-D710+FT-7800からFTM-400DH単体に変更しました。
 余ったRC-D710がI-GateのTNCとして2014年5月に再登場しました。
 しばらくは順調に稼働していたのですが、2014年7月末から、WiRESやWiRESXと同居させているUI-Viewの動作がおかしくなりました。他のソフトは問題なく動作を続けているので、てっきりUI-View自体か、あるいはUSB-シリアルの変換ケーブルの問題だと考えたのですが、原因はRC-D710の誤作動でした。
 このRC-D710は数年前にも、電源を入れても、TNCのファームアップをする際の表示画面で固まる、という症状が出て、サポートに電話して内部の電池も外しての強制リセットで直ったことがありました。
 今回もその対策を行ったのですが、どうしても内蔵TNCが1200ボーにしかならないのです。
 半日頭を抱えましたが、UI-ViewからTNC初期化に際して送るコマンドを少々変更して、何とか元に戻りました。
 この症状によって、(後で判明したことですが)UI-ViewのPC−−USBシリアルケーブル--RC-D710の辺りから、21MHz帯に猛烈なノイズが出ていたのですが、それもなくなりました。
 RC-D710の内部にはマイコンが入っています。TNCの機能をソフトで行っているのか、あるいは専用のモデムICを使っているのかは不明ですが、とにかくソフトは暴走するということを、改めて知りました。
(2014年8月9日)


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Last-modified: 2017-09-10 (日) 08:13:28 (2420d)